メルティングポット

「メルティングポット」って言葉を授業で習った。
いろいろな人種の「るつぼ」って意味らしい。

だったら今わたしがいる街も「メルティングポット」って言えるのかな…。

「ねえ、ナツミちゃん? 今度はどこに行くの?」

そんなことをふと思っていたわたしに、男が問いかけてくる。

三十代後半の太った男。ケミカルウオッシュのジーンズに
チェックのシャツ…。

典型的なオタクのおっさん。

わたしは思わず数百メートル先の警察署にこのエロクソオヤジを連れて行こうかと思ったが、
なんとか思いとどまって笑顔を向ける。

「もう時間だから帰ろうね?」

「そ、そう…」

寂しそうに応じる男。

わたしと男が立つJRの高架下を外国人のグループがいわゆる「萌え系グッズ」を抱えて歩いていく。
そんな彼らを好奇の目で見ながらガード下の居酒屋に入るサラリーマン…。

そしてわたしにさっきまでエンコーを持ちかけようとしていた男。

この世界はメルティングポットだ…。
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