プラトニックラヴ~大切な人々へ~
「そういえや。お前親居なくて自分で働いて学費稼いでんだよな?」

「はい」

「ええ!そうなの!?」

 知らなくて驚く冬実

「家も借りてるんだよな?」

「はい」

「じゃあ家に来いよ!その方が負担減るだろ?」

「ええ!そんなこと出来ませんよ!!」

「部屋一つ空いてるし大勢の方が賑やかで良いしよ」

「でも」

 戸惑う拓哉

「何か。お前未来の父親の言うことが聞けないのか?」

「えっ?そんな。じ、じゃあお言葉に甘えて」

「おし。衣食住はこっちで面倒見るけどそれ以外は自分でやれよ」

「はい。ありがとうございます」

「なに。良いって。(この決断で良かったんだよな。裕美)」

 心の中で裕美に言う文也

「うん。優しい文也ならきっとその決断するって分かってたよ」

 何処からか裕美の声が聞こえる

「裕美ありがとうな」

「お父さん?」

「あ、ああ。拓哉。今日は家でご飯食べていきなさい」

「お言葉に甘えて。御父様」

「たく!明日俺が引越し呼んで荷物運ぶからこっちに帰って来いよ」

「ありがとうございます」

 2年後

「高い高い~~~~~」

 冬実があやす

「子供が生まれて1週間か。結婚して子供生んで。早いな」

「そうかな?」

「もう名前は決まったのか?」

「お父さんが私の名前決めたように、拓哉と冬実からとって拓美」

「男なのに美なんて入れるのか?」

「僕が考えたんです」

「そうか」

1年後

「冬実が死んでもう1年か。早いな」

 感傷に浸る文也

「そうですね」

「奇跡的に拓美は母子感染を免れたな」

「ええ」

「冬実!ごめんな!ごめんな!こんなだらしない親で!」

 突然泣き出す文也


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