【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~

玲子や、リュウ、鈴木博士。


それに、晃一郎。


みんなの顔が、脳裏に浮かんでは消え、


涙が、ポロポロと、溢れ出す。


――もしかしたら、このまま、死んでしまうのかもしれない。


そんな冷たい予感が胸をよぎり、優花が、抗うことを諦めようとした、そのとき。


ふわり、と、漂う甘い花の香りと共に、優しい波動が、優花を包みこんだ。


『優花ちゃん、自分に負けたらだめだよ』


心に、染み入るような、温かい声。


それは、優花が、今はもう姉のように慕っている、もう一人の優花のものだ。


――優花……さん?


『あなたには、強い力が眠っている。あなには、その力がある。それを信じて』


――私の、力?


でも、どうすればいいのか、分からないよ。


『大丈夫。ただ、願えばいいの』


――願う?


『そう。心から、そうしたいと願うこと。それが、強い力になる――』

< 264 / 357 >

この作品をシェア

pagetop