【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
清浄な、白い光に満ち溢れた空間の片隅で、
一匹の獣が、泣いていた。
主が、恋しいと、
主に、会いたいと、
白く美しい翼を持った、その獣は、
時を止めたこの白い空間で、
大きな体を震わせて、もう長いこと、泣き続けていた。
「どうして泣いてるの?」
近づくと、優花は、その獣に優しく声をかけた。
涙に濡れていた獣の青い瞳が、弾かれたように、優花に向けられる。
どこまでも澄み渡った、空のような、濁りのない青。
『ユー……カ?』
名を呼ばれた優花は、犬に似た、大きな獣の長い鼻面を、よしよしと撫でてやった。
すると、獣は、気持ちよさそうに、目を細めた。
悲しみに沈んでいた青い瞳に、喜びの光が宿る。
『ユウカ!』
獣は、感極まったように、大きな翼をばさりと羽ばたかせる。
ふわりふわりと、中空を乱舞するのは、白い大きな羽根。
それは、まるで、天使の羽根を思わせた。