【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
ただ、一心に、『玲子ちゃんの側に』。
それだけを考えて、瞬間移動《テレポート》する。
視界の端に、グリードの手下を電撃で次々と昏倒させていく晃一郎の姿が見えた。
あれなら、操られている人間の体には、致命傷にならないだろう。
優花の力、ゴッド・ハンドは、相手に直接触れることで、より効果的に発揮される。
玲子の中に入っているグリードは、憑依体。
幽霊みたいなものだ。
でも、やはり、エネルギーの集合体と言う意味では、実態を伴った人間となんら変わりがない。
要は、相手に触れて、『その能力を頂いちゃおう』と言う優花の能力を発動させれば、玲子の中のグリードの憑依能力は無力化されるはず。
そして、優花は、玲子の背後に立つことに成功した。
トン、と後ろに降り立ち、間髪を入れず玲子を羽交い絞めにして力いっぱい抱きしめ、
出てけ出てけ出てけ、出でいけっ!!
と能力吸収と言うよりは、グリード退散を一心に念じて、一気に力を放出。
「なっ!?」
振り返り、驚愕に見開かれた異形の瞳が、徐々に色をなくしていく。