【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~

ここは?


一瞬、自分がどこに居るのか混乱し、すぐに晃一郎に連れられて来た自然公園だと思い出す。


――あ、あれっ!?


グリードは、玲子ちゃんは、晃ちゃんは!?


泡を食ってあたふたと立ち上がり、周りをキョロキョロと見渡してみても、人っ子一人見当たらない。


足元には、自分のカバンとペットボトル入りのお茶が一本。


さっと一気に、頭から血の気が引いて、思わず自分を両腕でかき抱く。


「まさか、今までの、全部夢……とかないよね?」


そんな、そんなの嫌だ。


パラレルワールドに行ったことが、夢だなんてそんなこと。


銀髪の優花さん、


茶髪の玲子ちゃん。


博士に、リュウ先生に、ポチ。


それに、それに、晃ちゃん。


出会ったことが現実じゃないなんて、そんなの絶対いやっ!

< 334 / 357 >

この作品をシェア

pagetop