【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
ここは?
一瞬、自分がどこに居るのか混乱し、すぐに晃一郎に連れられて来た自然公園だと思い出す。
――あ、あれっ!?
グリードは、玲子ちゃんは、晃ちゃんは!?
泡を食ってあたふたと立ち上がり、周りをキョロキョロと見渡してみても、人っ子一人見当たらない。
足元には、自分のカバンとペットボトル入りのお茶が一本。
さっと一気に、頭から血の気が引いて、思わず自分を両腕でかき抱く。
「まさか、今までの、全部夢……とかないよね?」
そんな、そんなの嫌だ。
パラレルワールドに行ったことが、夢だなんてそんなこと。
銀髪の優花さん、
茶髪の玲子ちゃん。
博士に、リュウ先生に、ポチ。
それに、それに、晃ちゃん。
出会ったことが現実じゃないなんて、そんなの絶対いやっ!