守るべきもの
(沙依は大丈夫だろうか…)


“クリーン矢代”に向かう車中で、修平は考えていた。


「中田。大丈夫か?なんか難しい顔をしているぞ。」

ハンドルを握っていた大橋が言った。


「いや、何でもないよ。」


沙依は、うなされながら眠っていた。起こしたら逆に気を遣うだろうと、ただ見守っていた。


(もっと、頼ってくれればいいのに。ワガママ言ったり、泣いたりしてくれればいいのに…)


以前、他の女性と付き合った時は、仕事のたびに

「私と仕事どっちが大事なの?」


とよく喧嘩になった。

でも、沙依はそんな事を一言も言った事がない。

いつも「気を付けてね。」と送り出してくれる。

沙依は今まで出会った女性の中で、1番の女だ。

一目惚れを信じない修平が、唯一、一目惚れをした女性だった。


(早く犯人を挙げなきゃな)

修平は、拳に力を込めた。
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