ワイルドで行こう

 抱き寄せられた英児の胸元、彼の心臓もどくどくと早く脈打っているのは聞こえる。
 だって。もっと、ゆっくり……もっとじっくり……って……。なのに待てずに……。
 ぐったり、力が入らなくて、声も出ない。でも息だけの声でそう言っていた。
「これで終わりだと思っているのかよ」
 ふっくらとした枕を背にだらりと果てている琴子から、まだ羽織ったままの水玉ブラウスを英児は容赦なくはぎ取ってしまう。
 標的の女を全裸にした野獣が、今度は琴子をベッドの上へと押し倒す。
 でももう、琴子は力も入らないし、声も出ない。ただ息絶える前の獲物のように、彼の胸の下に従うだけ。
「ゆっくり、じっくりだろ。それ今からだから」
 勝ち誇った笑みを見せながら、熱い息で耳元に囁く野獣。
 琴子は目をつむった。心臓が持つか、本気で心配した。ほんとうに果てる時、心臓が大きく脈打つことを知ってしまったから。
 でも意地悪な野獣は、まだ自分が満足していないから許してくれない。本当に容赦なく、琴子の身体を裏返しうつぶせにすると無抵抗なのを良いことに勝手に腰を抱き上げ、膝を立たされる。本当に獣の姿にされて望まれる。
 だから余計に。シーツに頬を埋め握りしめ琴子は覚悟して目をつむる。
 もう彼の思うままに、琴子は与えるだけ。なのに後ろから強く貫れて、身体が甘く熱く悦んでいるのは自分も女獣になっているからなのだろうか。
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