ワイルドで行こう
缶コーヒーの栓を開けた彼が、そう言う。その通りだと思う。そしてまた言い当てられる……。本当にこの人、人を見る目があるみたい?
「でも。そうならざる得ない時はあるかもな。特にさ、家族になにかあると、それまで通りの毎日ってわけにはいかないもんな。それが重なっちゃっていたのかな、姉さんは」
また涙が滲んできた。もうダメ。さっき、本当にどん底まで落ちた気持ちになっていたから。こんな理解してくれる言葉をかけられたらもう……。
「ご、ごめんなさい。今日の私、ダメみたい。本当にさっき、母があんなになって……本当にもう投げ出したくなっていて……」
今まで誰にも言えなかったことを、いつの間にか吐露している自分がいて驚きながらも、涙が溢れるばかり。
そして今度の彼は困った顔など見せずに、ただ琴子を黙って見てくれているだけだった。
「今すぐ泣いておきな。後でじゃない。今日の泣きたいは、今日のうちに」
琴子も頷く。
「俺、お母さんのところに行くな」
涙で声にならず、また頷く。彼が歩き出す。だがまた琴子へと振り返り言った。
「泣いている娘を知ったら母ちゃんがまた動揺するから、涙は拭いてこいよ。それでも母ちゃんには一生誤魔化せなくて騙せないだろうけど。それでも娘が泣いても自分で拭いて戻ってきたなら、そっとしてくれるよ」
また琴子も頷く。彼が長い足で母の元へ戻ってくれる。
本当に彼の言う通りだと思う。母に勝てるはずない。何故泣いたか、その気持ちも直ぐに見抜かれるだろう。そして気に病むだろう。それでも、琴子自身が泣いた後、立ち直ったよと笑顔を見せれば母もそれだけで安心してくれるものだって、彼が諭してくれる。
彼が母の側に再び付き添う。彼からお茶を受け取ると、また嬉しそうな母。一度だけ、自販機にいるままの娘へと振り返ったので、琴子は慌てて缶を開け自分なりに休憩している様子を見せる。安心したのか、山間の村集落の灯りを指さして、その煌めきを彼を相手に堪能しているようだった。
溢れるまま涙を流していたが、それもほんのひととき。泣こうと決めたら、意外と直ぐに涙は止まってしまった。そして心がどこか澄んだ気持ちになる。
そして琴子も、夜の光の美しさを笑顔で堪能する。蛍、山間の村の灯り。そして、星まで見えてきた。
「でも。そうならざる得ない時はあるかもな。特にさ、家族になにかあると、それまで通りの毎日ってわけにはいかないもんな。それが重なっちゃっていたのかな、姉さんは」
また涙が滲んできた。もうダメ。さっき、本当にどん底まで落ちた気持ちになっていたから。こんな理解してくれる言葉をかけられたらもう……。
「ご、ごめんなさい。今日の私、ダメみたい。本当にさっき、母があんなになって……本当にもう投げ出したくなっていて……」
今まで誰にも言えなかったことを、いつの間にか吐露している自分がいて驚きながらも、涙が溢れるばかり。
そして今度の彼は困った顔など見せずに、ただ琴子を黙って見てくれているだけだった。
「今すぐ泣いておきな。後でじゃない。今日の泣きたいは、今日のうちに」
琴子も頷く。
「俺、お母さんのところに行くな」
涙で声にならず、また頷く。彼が歩き出す。だがまた琴子へと振り返り言った。
「泣いている娘を知ったら母ちゃんがまた動揺するから、涙は拭いてこいよ。それでも母ちゃんには一生誤魔化せなくて騙せないだろうけど。それでも娘が泣いても自分で拭いて戻ってきたなら、そっとしてくれるよ」
また琴子も頷く。彼が長い足で母の元へ戻ってくれる。
本当に彼の言う通りだと思う。母に勝てるはずない。何故泣いたか、その気持ちも直ぐに見抜かれるだろう。そして気に病むだろう。それでも、琴子自身が泣いた後、立ち直ったよと笑顔を見せれば母もそれだけで安心してくれるものだって、彼が諭してくれる。
彼が母の側に再び付き添う。彼からお茶を受け取ると、また嬉しそうな母。一度だけ、自販機にいるままの娘へと振り返ったので、琴子は慌てて缶を開け自分なりに休憩している様子を見せる。安心したのか、山間の村集落の灯りを指さして、その煌めきを彼を相手に堪能しているようだった。
溢れるまま涙を流していたが、それもほんのひととき。泣こうと決めたら、意外と直ぐに涙は止まってしまった。そして心がどこか澄んだ気持ちになる。
そして琴子も、夜の光の美しさを笑顔で堪能する。蛍、山間の村の灯り。そして、星まで見えてきた。