ワイルドで行こう
庭、あと半分。まだ少しかかりそうだが、彼と並んで黙々と草引きに庭掃除に勤しむ。
暫くすると、母が縁側に出てきた。
「ねえ、ねえ。ちょっと早めにお昼ご飯作っちゃったのよ~。暑いし、少し早いけど休憩したらどうかしら」
彼が笑顔で立ち上がる。
「いや、お母さん。グッドタイミング。今日は昼までは頑張れそうになかったんで。早めに休んで午後早く片づけます」
頑張れないなんて、嘘。汗びっしょりでも彼の集中力も動きもまったく衰えてなかった。意地だけで頑張りそうな琴子が頑張りすぎないよう、彼が先へ先へと片づけてしまうのもわかっていた。タフそうな顔して、そんな『昼まで無理』なんて疲れた顔――。嘘つき、全部、琴子を休ませようとして。
「あらあら、汗びっしょり。これ冷たいおしぼり使ってね」
お兄さんも、脚立から降りてきた篠原さんも嬉しそうにおしぼりで顔を拭い、首を拭く。オヤジくさいとか良く敬遠される行為なんだろうけど、今日の彼らはすっごく『男らしい』と思う。
「あ、お母さん。このホース使ってもいいですか」
「いいわよ」
しかも庭用のホースを手に取ったかと思ったら――。そこから出てくる水を頭からかけている!
「はー、これが一番きくな!」
「いいなー、タキさんっ。お母さん、俺も借りて良いですか!」
母もちょっとビックリしながらも、もう笑っている。
「いいわよ、いいわよ。バスタオル持ってくるわね。ほんと、男の子って豪快ねー、いいわー」
そのうえ、二人でホースで水の掛け合いまでしてふざけ始めたりして!
「うっわ。兄貴、ひでーー」
「どーせ、直ぐに乾くんだろ」
「くっそ。俺だって」
「うわ、馬鹿。やめろよ!」
ノリが……高校生みたい。いい大人になったはずの男二人がもう。と思ったのだが、やっぱり笑っちゃう。
そして琴子も思った。
――私も、騙されても良い。
ううん、違う。『彼には騙せない』。彼は嘘をつかないって自信がある。
暫くすると、母が縁側に出てきた。
「ねえ、ねえ。ちょっと早めにお昼ご飯作っちゃったのよ~。暑いし、少し早いけど休憩したらどうかしら」
彼が笑顔で立ち上がる。
「いや、お母さん。グッドタイミング。今日は昼までは頑張れそうになかったんで。早めに休んで午後早く片づけます」
頑張れないなんて、嘘。汗びっしょりでも彼の集中力も動きもまったく衰えてなかった。意地だけで頑張りそうな琴子が頑張りすぎないよう、彼が先へ先へと片づけてしまうのもわかっていた。タフそうな顔して、そんな『昼まで無理』なんて疲れた顔――。嘘つき、全部、琴子を休ませようとして。
「あらあら、汗びっしょり。これ冷たいおしぼり使ってね」
お兄さんも、脚立から降りてきた篠原さんも嬉しそうにおしぼりで顔を拭い、首を拭く。オヤジくさいとか良く敬遠される行為なんだろうけど、今日の彼らはすっごく『男らしい』と思う。
「あ、お母さん。このホース使ってもいいですか」
「いいわよ」
しかも庭用のホースを手に取ったかと思ったら――。そこから出てくる水を頭からかけている!
「はー、これが一番きくな!」
「いいなー、タキさんっ。お母さん、俺も借りて良いですか!」
母もちょっとビックリしながらも、もう笑っている。
「いいわよ、いいわよ。バスタオル持ってくるわね。ほんと、男の子って豪快ねー、いいわー」
そのうえ、二人でホースで水の掛け合いまでしてふざけ始めたりして!
「うっわ。兄貴、ひでーー」
「どーせ、直ぐに乾くんだろ」
「くっそ。俺だって」
「うわ、馬鹿。やめろよ!」
ノリが……高校生みたい。いい大人になったはずの男二人がもう。と思ったのだが、やっぱり笑っちゃう。
そして琴子も思った。
――私も、騙されても良い。
ううん、違う。『彼には騙せない』。彼は嘘をつかないって自信がある。