ワイルドで行こう
シャワーで軽く汗を流す。もう作業も出来ないようだから、くつろげる楽な格好になろうとマキシ丈のゆったりした真っ青なワンピースに着替える。カーディガンを羽織ってリビングへ。
その頃にはもう、雨も小降りになり雷鳴もかなり遠くで響いているだけだった。
リビングへ行くと、何故か彼の姿がない。でも飲んだあとがわかる空のカップがテーブルにある。
「滝田さん。もしかして帰っちゃったの」
琴子のコーヒーを淹れてくれる母が首を振る。
「雨が小降りになった途端、また外に行っちゃったのよ。片づけてくるって。もう今日はいいよって言ったのに」
庭側の窓へと振り返ると、本当に着替えた彼が腰をかがめて集めきれなかった濡れた雑草を片づけている。
母がほうっと息をついた。
「働き者だわ。それに責任感も強いわね」
母はもうこれ以上褒める言葉も見つからないと、感嘆のため息しか出てこない様……。
琴子も外へ出た。
なのに庭にいない。どこにいるのかと雨上がりの庭を歩き、裏方へと回る。すると倉庫の脇にある紫陽花の植え込みのところで彼が立っていた。
「滝田さん。今日はもう……。貴方もせっかく着替えたのに、また汚れてしまう」
彼が振り返る。着替えた琴子を見て、少しだけ目を見張ったが直ぐにいつもの微笑み。
「うん。ゴミ袋をこっちに片づけただけ。終わったから」
庭先から目立たないところへと片づけてくれたようだった。本当に気が利きすぎて……。
「この紫陽花は咲いている真っ最中だからなにもしないでおくってシノが言っていたから。季節が終わったら、また綺麗に整えてやってくれだってさ。そうしたら来年はもっと沢山花をつけるだろうからと言っていた」
その紫陽花も、伸び放題。花が一つだけ咲いている。雨に濡れ、風に揺れていた。
その頃にはもう、雨も小降りになり雷鳴もかなり遠くで響いているだけだった。
リビングへ行くと、何故か彼の姿がない。でも飲んだあとがわかる空のカップがテーブルにある。
「滝田さん。もしかして帰っちゃったの」
琴子のコーヒーを淹れてくれる母が首を振る。
「雨が小降りになった途端、また外に行っちゃったのよ。片づけてくるって。もう今日はいいよって言ったのに」
庭側の窓へと振り返ると、本当に着替えた彼が腰をかがめて集めきれなかった濡れた雑草を片づけている。
母がほうっと息をついた。
「働き者だわ。それに責任感も強いわね」
母はもうこれ以上褒める言葉も見つからないと、感嘆のため息しか出てこない様……。
琴子も外へ出た。
なのに庭にいない。どこにいるのかと雨上がりの庭を歩き、裏方へと回る。すると倉庫の脇にある紫陽花の植え込みのところで彼が立っていた。
「滝田さん。今日はもう……。貴方もせっかく着替えたのに、また汚れてしまう」
彼が振り返る。着替えた琴子を見て、少しだけ目を見張ったが直ぐにいつもの微笑み。
「うん。ゴミ袋をこっちに片づけただけ。終わったから」
庭先から目立たないところへと片づけてくれたようだった。本当に気が利きすぎて……。
「この紫陽花は咲いている真っ最中だからなにもしないでおくってシノが言っていたから。季節が終わったら、また綺麗に整えてやってくれだってさ。そうしたら来年はもっと沢山花をつけるだろうからと言っていた」
その紫陽花も、伸び放題。花が一つだけ咲いている。雨に濡れ、風に揺れていた。