ワイルドで行こう
今日はそこに相棒のスカイラインがない。休日出勤の琴子が嬉しそうにして乗っていったから。
「おう、ひさしぶりだな。おまえ」
妻に捧げた銀色のフェアレディZのルーフを英児は撫でる。元愛車だが、これを結婚の記念にと妻にあげた車。いまは琴子の愛車。
その運転席に乗り込むと、やっぱり甘酸っぱい女の子の匂いで充満していた。
「おー、もう俺の車じゃねえな」
琴子が言うとおり。英児も同じ。いつもの相棒でないことはしっくりとしないが、それでも元愛車であって、惚れてる女の匂いに包まれるドライブも悪くはない。
そんな気分上々で、英児は銀色のスポーツカーで龍星轟を飛び出した。