ワイルドで行こう
琴子はドキドキ、待っている。夕食の支度をしながら待っている。
「おう、ただいま」
彼がお店を閉めて帰ってきた。リビングに現れた彼はやっぱり別人のようなヤンキーな男性に。
見慣れなくて、琴子は返事ができずにいた。
「なんだよ。やっぱ、若くないと似合わねえのかもな」
短くなった髪を彼がざらざらっと撫でて、バツが悪そうな顔。
「ううん。本当にやっちゃうから、もう……びっくりしただけで」
本当にもう、こう思ったら即決でしちゃうロケットな旦那さんらしい。
そう思うと、琴子もやっとくすっと笑っていた。
そんな英児のそばに、琴子はエプロン姿で近づく。
大人の男らしく少し長めで整えていた黒髪をほんとうに短く刈ってしまって。
「触ってみてもいい?」
「ああ、いいよ」
背が高い彼が身をかがめてくれる。琴子は初めて、つんつんしている金髪に触ってみた。
「金髪、初めて触った」
「ふうん、そっか。昔はいろんな色に挑戦したな」
「今度は何色にするの」
琴子が笑うと、英児がちょっと驚いた顔をした。
そんな琴子を彼は今夜も抱きしめてくれる。
「しねえよ。今回だけだよ」
その声がちょっと怖い声だったので、琴子は首を傾げる。
やっぱり。昔の姿に興味を示すべきじゃなかったのかなと。
でも。どの英児も私には英児さんなんだもの。