ワイルドで行こう
「俺、車しか興味ねーから」
「社長という肩書きで、私が見る目を変えると思ったの?」
「社長、社長って。金を持っていると見られたり、借金があるって見られたり。俺は琴子には車好きの俺を見てもらいたかったんだ。俺、本当に整備士のつもりで店やっているから。店を一生懸命やっていたらいつの間にかそうなっていたんだよ」
「うん。貴方なら、きっとそうだろうと。うちの社長から貴方のことを聞いて、私もすぐにそう思ったわよ。車が好きでいつのまにか社長になっていたのねて」
 『本当かよ』と、彼がやっと琴子の目を見た。
「本当よ。『社長さん』、もう一度、ご挨拶するわね。『私、英児さんに惚れているんです。大事にしますから、まかせ、』……」
「琴子」
 最後まで言わないうちに、運転席から彼がやってきた。またすぐにキスをされるのかと思ったのに。
『きゃっ』。琴子の身体はがくんとシートを倒されひっくり返っていた。その上にまた容赦なく英児が覆い被さっている。
「やっぱお前、思った通りの女だった」
「ちょ、ちょ、ちょっとやめてっ」
 すっごく手早いってことのこと? 狭い助手席で倒され覆い被され、抵抗できないのをいいことに、英児の手があっという間に琴子が着ているカットソーをめくり上げていた。しかももう彼の手は琴子のランジェリーの下に滑り込んで、きゅっと片胸の感触を楽しんでいる。
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