10年越しの恋
「そんなに大したことじゃないんだけど」

もじもじしてなかなか話はじめないまさよ。


「もしかして好きな人でも出来た?」


うれしそうにひやかすゆう。


「好きな人っていうか、会社で先輩に告白されて」


「すごーい、いきなり社内恋愛ですか?」


わざとからかうように言うと、


「もう、そんなんじゃないんだって」


「じゃあなによー」


「だからね、その人34歳で結構年上じゃない。そんなのってどうなのかなって」


「34歳ってことは1一回り上か、ゆうはどう?」


「それぞれの好みの問題だと思うし、まさよがいいんならいいんじゃないかな」


「私もそう思う。それになんとなく上のほうがまさよには合ってるような気がするし」


「いいのかな、ほら私あんまり恋愛経験ないから。なんかどうしていいのかわからなくって」


普段はきりっとしててお姉さんキャラのまさよが、中学生のように頬をピンクに染めるのがすごくかわいく思えた。


「年齢とかじゃなく、好きかどうかが重要だよ」

そんなゆうの言葉に妙に納得して頷いた。


「そっか! なんか勇気が湧いてきた」


さっきまでの不安気な表情がぱっと明るくなる。


「自分が思うようにすればいいんだよ」


「うん、頭でごちゃごちゃ考えるのやめる」


『そうそう! がんばるんだよ』


私達の励ましが役に立ったのかどうかは謎だけど、
結局まさよはその彼と付き合うことにしたみたい。

今度は幸せになってね、まさよ。


なんだかまさよの恋話にテンションがあがった私たちは、その後もカラオケで3時間以上盛り上がった。


「じゃあまたね」


久しぶりに女同士で騒ぐのは最高に楽しかった。

試験への不安で元気のなかった気持ちが晴れる。

明日からも頑張らなきゃ!

雅紀に電話をしてからすぐにベットに入った。
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