10年越しの恋
夜10時 いつもの時間
♪ぷるるるる♪
雅紀からの着信に慌てて携帯を手に取った。
「体調どう?」
「うーん、ちょっと辛いけど大丈夫だよ。昨日買ってくれた ”たまごクラブ ”につわりがひどいのは赤ちゃんが元気な証拠だって書いてあったし」
「そっか! じゃあ瀬名が気持ち悪いって言えば言うほど華ちゃんは元気って訳か」
「複雑だな… その表現。でもそうみたいよ」
妙に明るい雅紀の声に不安になる。
「今日話したんだけどさ、やっぱり突然のことに親もびっくりしたみたいで…」
「それはそうでしょ、驚くよ…」
「だから明日もう一回ゆっくり話すから、瀬名は安心して華ちゃんのお母さんしてて」
なんとなく雅紀の口調から難航しそうな雰囲気を感じたけどあえて言葉にはしないでおいた。
言葉にするともっともっと不安が増すと思ったから。
「分かった、がんばって吐き気と闘っておくよ」
「うん、じゃあ今日はもう遅いからゆっくり寝て。愛してるよ、おやすみ」
「ありがとう」
電話を切った後言い知れない不安に胸が支配される。
怖くて仕方がなかった。
”華ちゃん、大丈夫だよ。守ってあげるからね”
お腹に手をあてて話しかけながら涙がこぼれた。
「瀬名、今いい?」
ここ数日の私の調子の悪さを気にしていた様子の母親が珍しく部屋を訪ねてきた。
慌てて涙を拭いてベットから起きあがる。
「最近ずっと調子が悪そうだけど大丈夫なの? 今日はアルバイトも休んでたみたいだし」
「何でもないよ、ほんと大丈夫だから。心配かけてごめんね」
動揺を上手く隠せない……。
「もしかして妊娠してるんじゃない?」
そんな言葉に思わず顔を上げると母親の勘なのか、何かを悟ったような表情が目に入った。
「そんなわけないでしょ! 風邪と夏バテだってば」
そんな私に心配そうな表情を見せる。
「ならいいけど」
部屋を出て行くその背中に寂しさを感じた。
親にも相談できない自分が嫌いだった。
でもずっとそうして生きてきたから……。
♪ぷるるるる♪
雅紀からの着信に慌てて携帯を手に取った。
「体調どう?」
「うーん、ちょっと辛いけど大丈夫だよ。昨日買ってくれた ”たまごクラブ ”につわりがひどいのは赤ちゃんが元気な証拠だって書いてあったし」
「そっか! じゃあ瀬名が気持ち悪いって言えば言うほど華ちゃんは元気って訳か」
「複雑だな… その表現。でもそうみたいよ」
妙に明るい雅紀の声に不安になる。
「今日話したんだけどさ、やっぱり突然のことに親もびっくりしたみたいで…」
「それはそうでしょ、驚くよ…」
「だから明日もう一回ゆっくり話すから、瀬名は安心して華ちゃんのお母さんしてて」
なんとなく雅紀の口調から難航しそうな雰囲気を感じたけどあえて言葉にはしないでおいた。
言葉にするともっともっと不安が増すと思ったから。
「分かった、がんばって吐き気と闘っておくよ」
「うん、じゃあ今日はもう遅いからゆっくり寝て。愛してるよ、おやすみ」
「ありがとう」
電話を切った後言い知れない不安に胸が支配される。
怖くて仕方がなかった。
”華ちゃん、大丈夫だよ。守ってあげるからね”
お腹に手をあてて話しかけながら涙がこぼれた。
「瀬名、今いい?」
ここ数日の私の調子の悪さを気にしていた様子の母親が珍しく部屋を訪ねてきた。
慌てて涙を拭いてベットから起きあがる。
「最近ずっと調子が悪そうだけど大丈夫なの? 今日はアルバイトも休んでたみたいだし」
「何でもないよ、ほんと大丈夫だから。心配かけてごめんね」
動揺を上手く隠せない……。
「もしかして妊娠してるんじゃない?」
そんな言葉に思わず顔を上げると母親の勘なのか、何かを悟ったような表情が目に入った。
「そんなわけないでしょ! 風邪と夏バテだってば」
そんな私に心配そうな表情を見せる。
「ならいいけど」
部屋を出て行くその背中に寂しさを感じた。
親にも相談できない自分が嫌いだった。
でもずっとそうして生きてきたから……。