牛乳と猫スーツ。



遥はそのまま化粧台の前に座り、髪をシュシュで束ねて化粧を始める。




時間をかけて化粧を終えた遥は、寝る前に選んだ黒のワンピースを着る。




ブランド物のバッグにケータイや財布などを入れていって、玄関に向かう。黒い革のニーハイブーツをはいて、部屋を出た。







「フフ〜ン♪」




鼻歌を歌いながら、軽くスキップする。こんなに足取りが軽く感じたのは初めてだった。







「あれ〜…?はるっち?」



突然出てきたのは彩華だった。まだ起きたばかりのようで、目は半開きでフラフラしている。






「(しまった!?彩華に見つかった!)」




ライバルである彩華と出会して、遥は驚く。






「そうそう、今日は外に―――」





「ちょわぁ〜!!」




彩華の話も聞かずに、遥は飛びかかって手刀を打ち込む。






「がべっ!?」




彩華は気絶してバタリと倒れた。






「今日は…今日だけは、誰にも邪魔させないわ!」




そう言って、遥は全速力で寮を出た。






【校門】




そこにはすでに直樹がいた。貸し出し自由の自転車のスタンドを立てて止め、サドルに座りながら待っていた。








「デートか…。今思えば初めてだな。」




白のシャツにジーンズ姿の直樹がケータイで時間を確かめながら呟いた。






「直樹〜!」




遥が駆け足でやってきた。
< 1,085 / 1,131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop