牛乳と猫スーツ。
17…過保護な2人。
エリーゼの急な来日から数日が経ち、いつの間にか7月も過ぎて、夏の暑さが本領発揮してきた8月の、ある日の事である。
エリーゼも朝顔の観察を始めて静かな日が続き、今日は仕事もないので、直樹は生徒会室で菫とお茶を飲みながらまったりとしていると、ケータイが鳴る。
彩華からのメールだった。夏休みに入って色々あった事を教えたりしていると、いつしかメールのやりとりを毎日していた。
「誰からだ?ずいぶん嬉しそうじゃないか。」
「え?いやいや、彩華さんですよ。色々報告していたるんですけど、最近毎日メールしてるなと思って。」
直樹の言葉に菫の湯飲みを持つ手がピタッと止まる。
「そうか。しかし蓮の前で言わない方がいいぞ。」
「何でですか?メールなんて誰だってしてるんじゃ?」
「問題は、そっちじゃなくてね…。」
菫が何かを言いかけたときに、生徒会室のドアが開く。
「ん?何の話をしてるんだ?」
仕事を終えた蓮が帰ってきて、会長席に座る。
「大したことじゃないさ…。」
菫のこの言葉の意味を直樹が理解するのは、少し後になる。
「いや、彩華さんと毎日メールしてるって話しだったんですけど、こんなの普通ですよね?」
「は?」
このとき、なにやら空気が冷たくなったが、冷房でもつけたのだと思い、直樹は気にしなかった。