牛乳と猫スーツ。
食材を調達するために商店街へ向かう。この町の商店街には八百屋など専門店があるので、近くのコンビニよりも利用している。
商店街は学校を過ぎた通りにある。学校の塀を右手に歩いていく。
不意に空を見上げる…。日の光に目を細めながらも雲の動きを目で追う。
いい天気だと呟き、目線を前に戻すと同時に頭上が暗くなる。
上を見ると、人が塀を飛び越えていた。
女の子だった…。
太陽に映える銀色の髪。
腰までありそうな長髪を黒いリボンで束ねている。いわゆるポニーテールだ。
凛々しく整った顔立ちで、瞳はこの空のように青く、見つめていると吸い込まれそうだった。
この学校の制服姿だが、学校指定のリボン(男子はネクタイ)はしておらず、シャツの最初のボタンを留めていないので鎖骨が見えており、スカートは短いがスパッツを着用して、上着を腰に巻きつけている。
「スパッツか…。」と心の中で呟く。
断じで残念に思っているわけではない。
むしろ、太陽を背に輝くその姿に釘付けにされている。
時間にすれば数秒。
感覚では永遠に感じた。
永遠に見ていたい姿だったが、人が重力の影響を受けないはずはなく。
気がつけば、靴底が目の前に迫っていた…。