牛乳と猫スーツ。
「今のところはいない。この学園の生徒は交渉より、戦闘が好きな者が多いからな。俺が勝ってしまって、大半の者に選挙権はない。」
この人は創立記念大会で、1人校内を歩き、力の差を思い知らせていたらしい。
「もし、会長と同じ理想を持った人が頼みに来たらどうします?」
「それは…嬉しいことだ。」
コーヒーを飲み終えて、離れた場所にあるゴミ箱に投げ入れる。
「そうですか、わかりました。」
直樹はベンチから立ち上がる。
「それじゃあ、俺は寮に戻ります。」
「ああ、また明日。」
そして、寮に向かって歩き出した。
……………………。
……………。
……。
直樹の姿が見えなくなった後も、新しいコーヒーを買って、蓮はまだベンチに座っていた。
「卒業………か。できる…のか…?いや、そんなことはどうでもいい。」
カチッとコーヒーのプルタブを開ける。
「あの口振りだと、あいつかあの子が来るだろう…。ターニングポイントは来年くらいか。」
コーヒーを一口飲み、呟く。
「予定通り……いや、希望通りと言うべきか。」
濃いオレンジ色の空を見上げる蓮。
「頼みに来たら…俺は今まで以上に、お前達を鍛えよう。お前達の理想…いや、未来を掴めるように…。」
コーヒーを一気に飲み干し、空き缶をゴミ箱に投げる。
「だから…。」
蓮が立ち上がり、歩き出す。
「だから、できるだけ早く来てくれ……。」
蓮は新館の中に消えていった。