牛乳と猫スーツ。
「直樹か。残っているのがコレしかなかっただけだ。」
「れ〜ん!特大の置いといてあげたんだから、味わって食べるんだよ〜!」
遠くで後片付けをしていた蓮の友達と思われる女子生徒が手を振って叫んだ。
「あはは……。」
「好きで悪いかぁ〜!!」
顔を真っ赤にしながら蓮が逆ギレした。
「何も言ってないじゃないですか…。あ、店で言ってたアレってギターのことだったんですね。」
なんとか話題を変えようと、直樹は蓮の隣に置いてあるギターケースを指差す。
「フン…。ああ、そうだよ。」
「昔からバンドとかやってたんですか?」
「もぐもぐ…。いや、練習はしていたが、バンドを始めたのは去年からだ。」
綿菓子を食べながら話す。
「興味があるなら教えてやるぞ?」
「ホントですか?嬉しいな〜。」
「よし、なら音楽室へ行くか。」
蓮が特大の綿菓子を食べ終わり、立ち上がる。
「はい?」
「練習だ、教えてやる。」
綿菓子の棒をくわえながら、蓮が言う。
「今からですか?」
「今からだ。今日中に弾けるようにしてやる。」
こうして、直樹は鬼のような蓮にギターの弾き方を教わったのだった。