牛乳と猫スーツ。
更に、この学校の校章はアニメやマンガで敵国の旗に描かれていそうな、剣に龍が巻き付いている絵なので間違える事はない。
「今日は、学校も部活も休みだけど?」
キョトンとした顔で見てくる。
「ちょっと他に着るものがなくて…。」
というより、学校も部活もないのにこの人は何をしているんだろう…。
直樹が訪ねかけたとき。
「ゴメン、私急いでるからお詫びはまた今度ね。」
そう言うと、女の子は走り去って行った。
「なんだったんだろう…。」
目を閉じてみる。
あの女の子の姿が、まぶたの裏に焼き付いて離れなかった。
不意に妹の言葉が頭に浮かぶ。
『最近の女は油断大敵なんだから、特に綺麗な人には注意するんだよ。』
「いい人みたいだったけどな…。」
女の子が走って行った方を見ながら呟いた。
「とりあえず、買い出し行かないとな…。」
そして商店街へ向かって、また歩き出した。