牛乳と猫スーツ。
【12月24日・体育館】
全校生徒が体育館に集まって、イブ・カードと裏に書かれた、ラジオ体操のスタンプカードのような物を配られていた。
壇上に雪が上がると、話声が止み、体育館に静寂が訪れる。
「会長が私情によりこの場にいないので、代わりに私が今日のイベントの内容を説明します。」
内容はこうだ。
男女ペアで校内に作られた数ヶ所のイベント場で、課題をクリアするとスタンプを押してもらえる。スタンプを5つ集めると、賞品と交換できる。
イベント場には、運動系と文科系があり、1人用と2人用もある。
男女で役割を分けるのもよし、2人で一緒にするのもありである。
「それではイブ・スタンプラリー、スタート!」
雪の開始の合図と共に、みんなが異性に声をかけていく。
「雪さん、これが会長が考えたイベントですか?」
直樹は壇上から下りてきた雪に尋ねる。
「そう。恋愛相談してたでしょ?その子達が前に進めるよう、蓮が考えたイベントよ。」
「へぇ…。」
てっきり前のように相手の弱点を突いて、振り向かせる方法だと思っていたので、直樹は意外だなといった顔をする。
「さあ、直樹くんも誰か誘ってくるといいわよ。」
そう言って、雪は体育館から出て行った。
「スタンプラリーか…。」
体育館の中央でイブ・カードを見つめる女の子がいた。