牛乳と猫スーツ。
「ああ、今さっき各寮長に確認を取らせた。ねこねこ団のメンバー以外は全員部屋にいた。」
クルクルと椅子を回しながら蓮が答える。
「彩華〜?直樹に連絡取れたか?」
窓際で電話をかけている彩華に蓮が聞く。
「う〜ん。直樹くん、電話に出ないよ〜。」
ピッとボタンを押してケータイを片付ける。
「嫌な〜予感が〜するような〜しないような〜。」
グルグルと椅子を高速回転させながら蓮が言う。
「うっぷ…。気持ち悪くなってきた…。雪〜、椅子を止めてくれ。」
雪が蓮に近づく。
蓮の目の前で止まり、グッと腕を引いてアッパー。
「ほげぇらぶちゃ〜!!」
奇声と共に蓮が宙を舞う。
ドシンッと蓮が地に落ちゴロゴロと、菫のいる壁まで転がる。
プルプルと体が震える。
「アッパーのダメージと回転の気持ち悪さが合わさって……。うぇぇ…。」
限界が近いのを感じて、起き上がろうとしたとき、ドンッと菫が蓮の背中に座る。
「おげっ!?バカ、どけって――――――」
ゴンッと蓮の喉を刀の鞘で叩く。
「動くな〜、この椅子。」
足を組みながら菫が言う。
悠斗が隅で震えている…。
「虎穴にでも入ったか……?直樹くん…。」
本館を見つめながら、菫が呟く。
……………………。
………………。
………。
「やっぱり机に入れっぱなしだった…。」
ケータイをポケットに直して、ガチャっと教室のドアを閉める。
シャカシャカ…。
「なんだ?何か音が…。」
シャカシャカシャカシャカ……。
不気味な音が廊下に響く……。