牛乳と猫スーツ。
【30分前。】
21:42。1年2組の教室。
「やっぱり机に入れっぱなしだった…。」
教室のドアを閉めて、廊下に出る。
シャカシャカシャカ…。
「何の音だろ?」
カシャンカシャンカシャン……。
音はどんどん大きくなってきた。
暗くてよくわからないが、赤くて小さな光が数え切れないほど見える。
雲に隠れていた月が姿を現し、窓から月の明かりが入る。
廊下が明るくなり赤い光の本体を月が照らす。
それはロボットだった。蜘蛛の形に似たロボット。
「あれ?これは学校のパンフレットに載ってたな…。確か警備ロボットだっけ。」
この学園にSSCを使わずに入ったり、警報機を押したりすると出てくるロボットだ。
高画質カメラと天井や壁を歩ける特殊な足、犯人が攻撃か抵抗した場合には内蔵されたスタンガンで反撃し、逃走した場合は胴体部分に内蔵された車輪を出し追跡する。
最近になって全国の学校に導入されたらしい。
ただ1体の値段がかなり高いので学校に2、3体くらいなのだが、目の前には廊下を埋め尽くすぐらいの量のロボットがいる。
「多過ぎだろ…。ん?」
パンフレットの写真には無いL字型の物がロボットの背中に付いている。
どこかで見たことがある形。
何かを反転させた形。
1体だけ足元に近づいて来た。
直樹はしゃがんで見てみる。
「あはは。なんだ拳銃じゃないか〜。」