牛乳と猫スーツ。
48…修行と息抜き。
本日は日曜日。時刻はPM1:20。もはや龍堂学園の日常風景である直樹の修行が寮の中庭で行われていた。
「らら〜ら〜ら〜♪」
長い銀髪をアップにして簪(かんざし)をさし、黒の生地に赤い睡蓮の花が描かれた着物を着ているのは、学園最強の神崎蓮である。
直樹の修行中にも関わらず、自作の曲を口ずさみながら花壇に水をあげていた。おそらく菫がしたのか、蓮は化粧していた。長い付けまつげに、薄い青のアイシャドウ、ピンクの口紅をつけていた。
「うおおお〜っ!!」
後ろから走ってきたジャージ姿の直樹が蓮に殴りかかる。
「ららら〜♪」
蓮は振り返ろうともせずに片手で受け止め、そのまま小石でも捨てるかのように直樹を投げ飛ばす。
「いでっ!?」
何度目かわからない投げ飛ばしを受けて、直樹は大の字に倒れた。
「っ……。よし、あの技で!」
すぐに起き上がり、直樹は体勢を低くして走り出す。
花に水をあげ終えた蓮がようやく直樹の方へ向く。
直樹は一気に蓮の懐に入る。蓮は持っていた水差しで直樹を薙ぎ払おうとするが、直樹の体は霧のように歪む。
「もらった!!幻狼流―――え!?」