牛乳と猫スーツ。
56…守るために。〜力の代償〜



バイクを止めて、蓮は2人を下ろす。





「待たせたな。」




「会長、その傷…。」





「たいしたことはない。しかし、いつになったら俺は会長を引退できるんだ?」





「すいません、やっぱり一番しっくりする呼び方なんで。」





直樹は未だに蓮を会長と呼んでいた。「蓮でいい。」と言われても、直樹は呼べずに会長と呼んでいる。たまに彩華に怒られるが。






「ありがとな、遥。」





「そんな…私のせいで、あの子がヤツらに…。」



「いいんだよ、今から返してもらうからな。それより、2人は先に逃げろ。」





「でも会長…まだ彩華さんが…。」





「心配すんな、直樹。もうすぐ会えるさ。」




蓮が微笑むのと同時に部屋が揺れる。天井の一部が壊れ、その穴から黒猫スーツが下りてきた。





『神崎彩華を救出しました、マスター。』




「ありがと、クロ。そのまま2人と脱出しろ。」





『了解。』




クロは2人を連れて、直樹達が来た道を歩いて行った。直樹達が部屋を出たのを確認して、蓮はロボットの前に立つ。
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