私の彼氏
佐竹が田中を殺そうとした瞬間、彼の視界に一人の女性がはいった。
(その女性とは、もちろん田中の七百万円を狙っている山崎生徒である)

ここは逃げるしかない、と佐竹はそう考え、一度その場から立ち去った。
(その直後に、山崎生徒は七百万をゲトルことになる)

佐竹は、殺害がシパーイ(失敗)したことを秋山に携帯で連絡した。

殺れたのか? と期待し、秋山はワンコールで電話をとった。五月は横には居ない。
(五月をトラックで家に送り届けた後である)

電話の向こうで、佐竹が泣きながら謝っている。

秋山は、わかった、と言って電話を切った。

そして、ゲロを吐きそうになった。佐竹に命令を出しているのが、自分だとバレてしまった可能性が高いからだ。佐竹と俺が付き合っていることは無論、田中も知っているからである。恐らく、田中は佐竹の顔を見ているだろう。

これは、まずい。必ず、今日中に殺しておかねばならぬ。


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