私の彼氏
「このディスクは、私が五月の部屋にあったものを無断でダビングしたものです」

「何が入ってるんですか?」

真由美はワクワクテカテカしている。

「何か復讐に役立つ物がないかと思い、別れる前日にダビングしたんですが、ビンゴでした」


「あっ!」山崎生徒が急に声を発した。

「どうしたの? 山崎さん?」と真由美が訊く。

「今のこの風景、以前に見たことある」山崎生徒は、そう言った。

「いやいやいや、今そんな話違うじゃろ。大事な話を河合さんがされてますから」真由美はつっこむ。

「……。続けますね。あまりストーリーに関係ないことは話さないように」

「はい」山崎は反省した。

「中身はセックスでした。登場人物は秋山と中年男でした。そして、その中年男が、五月を刺した佐竹だたんです」

「だたんです?」

「だたんです。佐竹は田中と五月に脅迫され、二人を殺しにかかったのでしょう」

「田中が殺害成功で、五月が未遂か…」と真由美。

「サツキミスイ……。何か、サツキミドリみたいで名前のようですね」と山崎生徒が言った。


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