私の彼氏
「こ、これは…」

五月の携帯電話を持つ手が震えた。

「三木健介の嫁だと思うか?」

秋山が聞いた。

「わからんが、おそらくは………。しかし、もしそうだったとしても、ただ店に来て、亡き夫のことについて話がしたいだけではなかろうか」

「もしそうなら感想ノートに、そう、書くさ。それをしないということは、何か感づいているのかもしれんな」


そこに、バーテンが帰ってきた。五月はバーテンにむかって「今日はもういいから、あがってくれ」と言った。ただならぬ空気を感じ取った女はすぐに店を出た。

「小説を読む限り、あの女はお前にベタボレだな」

「さあな」

「私の彼氏か……。女も抱けるようになったのか?」

「慣れればなんてことないさ」

「そうか。三木なんて、女とやるどころか結婚して、子どもまでつくったからな」

「久しぶりに、ここでどうだ?」

五月は断られることはないだろう、という自信を持って、誘った。

「あの女が突然戻って来ないならな」

と、秋山は五月を受け入れた。


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