私の彼氏
「その携帯小説を読んでみろよ」

秋山は、冷静にそう言った。

五月は携帯を見て、「カワイサツキ? 『私の彼氏』? なんだこれは?」と問うた。

「よく読めよ。おたくのバーテンがご丁寧に、三木健介のことを書いているぜ」

「…!」

三木健介について書かれた一文を見た五月は、声も出ないほど驚いた。

それに対して、秋山は「まあ、そんなに読まれている小説ではないから、心配することはあるまい」と言ってやった。


「すまない」

「いや、仕方がない。すぐに削除させろよ」

もちろんだ、と五月は断言した。

「ただ、一つお前に確認したいことがあってな」

秋山は不安げにそう言った。

「なんだ?」

「三木健介の嫁の名は、“まゆみ”ではないよな?」

「いいや、確か、真由美だったはずだが…」

「………」

今度は秋山が声を失った。

どうした? と五月が聞いた。

すると、秋山は自分の携帯電話を五月から取り上げて、「感想ノート」のページを開き、もう一度、五月に手渡した。


そこには、“まゆみん”の文字があった。


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