私の彼氏
河合亜美はテーブルの上のノートを鞄にしまい、かわりに紙袋を取り出した。

そして、その紙袋を真由美に手渡した。

「これは、真由美さんの分です」

「この紙袋は何ですか?」

と言い、真由美は紙袋の中を覗いた。

札束が二つある。

「二百万あります」

河合亜美は平然と、そう言う。

「実は、先生に内緒で復讐を河合さんと先にやっていたんです」

山崎生徒が話しだした。

「先走り復讐か…」
と真由美がつぶやく。

「そうです。“先走り復讐”です」


河合は“先走り復讐”という言葉が、可笑しくて笑っている。笑いのツボとは、人によって違うのだ。

「山崎さん、詳しく話してちょうだい」

真由美は山崎に説明を求めた。金を返す気は全くないようである。紙袋をシッカリと握っている。


(普通、ビックリしたり遠慮したりして、お金の受取を一度は拒否するもんやろう)と思いながらも、山崎生徒は二百万の出所を話しだした。


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