青い向日葵


校門に人影が見えた。


しとしとと雨が降り続いているにも関わらず、その人影は傘をさしていないようだった。


その人影を凝視していると、S高の制服のように見えたので、直感的に、春野かもしれない、と思った。


立ちあがり、確認しに行こうと思った時。


傘をさして校庭を小走りで横切っていく男子が見えた。


そいつは、校門でびしょ濡れになっているその子に傘を差し出し、雨から守ってやった。


俯いた彼女を、静かに上から見下ろしている。


それは、やはり春野と、杉本だった。


心臓が何かにぎゅっと掴まれたような感覚になった。


今すぐ教室を飛び出したい衝動に駆られたが、すぐには体が動いてはくれなかった。

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