ちび×ひめ Ⅰ
『はぁ・・・・・・ああ、やっと捕まえた』
打ちつけられた体が痛いせいか、頭の思考が上手く働かず、クラっとする。
『やっと捕まえたぞ、捕まえたぞ・・・・・・シロー』
顔をゆがめながらもこの妖怪――髪はもじゃもじゃで肌の色は紫、顔と胴体は繋がっており、足がなく、
目は一つ、口は大きく、錆びついた声を見やった。
この妖怪はあたしのことをシローと呼んだ。
シロー・・・・・・?
誰? それ・・・・・・人違いだ・・・・・・。
妖怪はまだ言い続ける。
『さぁ・・・・・・返せ!!』
妖怪はぎゅうと、締め付けるように握り締める。
体の骨が砕けそうなくらい強い力で圧迫された。
小さなあたしにとってこれ以上力を入れられると
下手をすればコロっと、逝きそうだ。
『かえせ・・・・・・!!』
「っく・・・・・・。・・・・・・!?」
『さぁ・・・・・・さぁ!! かえせ!!』
「・・・・・・うっ」
ギシギシと体が犇めく中、頭がクラクラとし意識が曖昧になり遠のいていく。
やばいかも・・・・・・しっかりしろ、あたし!!
このままではこいつに喰われてしまう!
助けてくれる相手もいなければ、
こんなところでは誰にも頼ることが出来ない以前に
誰も来ないだろう。