ちび×ひめ Ⅰ


――――――
――――
――


「きゃっ……!」



何かが足に引っ掛かり、あたしは転んで思いっきり額を打ってしまった。

涙目になりながらも、痛みを堪え額を擦る。


「っいたた」

何が引っ掛かったのか、足元を見ると、


だいぶ年月が経っていたせいであろう腐って、今し方切れた縄があった。


(これって、よく神社とかで見る……)


「まさか……」

すると、どこからか、声がした。



――『ああ、破れた。やっと――我を封じせしめし結界が破れた』



「結界?」

後ろを振り向いたがそこには誰もいなかった。

気のせい? なわけない!!

神社の縄を切ってしまったんだ。

やばい!! やばいに決まってる!


そう思ったあたしは縄を直そうとした。

切れた両端を結ぼうとしたけど、結び目が腐って結べない。

「どうしよう……?」


辺りは嫌な風が流れ込んだかと思えば、突然小さな祠の扉が開き、そこから眩しい光が放った。



「うわぁ――!」

光の眩しさから目を瞑ったあたしはそっと目を開ける。


(何もいない……)


辺りを見回してみるが、何も変化がなかった。

先ほどの光は一体なんだったのだろうか?





< 15 / 16 >

この作品をシェア

pagetop