アニマルマジック
animal magic

**001


「ねぇ、別れて」

静かな夜の公園。132回目の別れを告げる。無表情で小さな声で言ってみる。彼の表情は何一つ変わらない。

殴りたくなる衝動を押さえて彼の返事を待つ。

「却下。」


はぁー。溜め息しかでない。そしてこの却下という言葉を聞くのも132回目。

溜め息しかでない私、桃谷桃子(モモタニモモコ)。

名前の中に<も>が4回出てくるの!!


すごいでしょ?

………………

ダメだ…自分で言ってて虚しくなる。親を憎む…。
何で名字が桃谷なのに桃子って名前つけるんだろね。

あーむ・な・し・いね!
あれ?何か空気悪くなった?
あ、はい。もうやめます。

ついでについでに私の前で偉そうにヤンキー座りをしている男、こいつの名前は比嘉竜二(ヒガリュウジ)。

名前に竜が入ってるくせに背中にある刺青は虎。意味不明。

そして私の一応まだ彼氏。でも一時間後には他人になってやる。

絶対、絶対、ぜっーーたい今日こそは別れてやるんだから。


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