アニマルマジック

行き場所を聞いても答えてくれなくて試合前日で休みたかったのに昨日のせいで体力も完璧な訳もなく…イライラした私は公共の場で
「意味分かんないし!お前は口なし男か!!」と叫んでやった。するとヤンキーは黙っているわけでもなく私の方にすたすた歩いてきて上から睨み攻撃。

「あぁ?!黙って付き合えよ」ムッカー!!!!
「誰が暇って言ったのよ!!明日、引退試合でゆっくり休みたいて言ったのよ!!あんたの耳は節穴か!」周りの人は爆笑していた。今、思えばあんな公共の場で節穴とか、口なし男とかを金髪のヤンキーに真面目そうな女の子が言っていたら笑えるよね…私だって笑ってしまう。

私はそのあと蹴り飛ばして走って帰ってきた。竜二は追いかけてきたけど、竜二が追い付いてくる前に電車に乗ることに成功。もちろん仲直りしているわけでもなく今に至る状態。

「何、のこのこ来てるのよ!まず謝れば?」竜二の前に立ちながら思いきり強く言ってみる。
「すまない…」おっとー予想外!素直に謝るなんぞ思ってもいなかった私は驚いた顔をしていると思う。

「な、何…気持ち悪いな…」私は苦笑いをしながら彼をじっーと見ている。
「お前さ…それはないんじゃね?悪かったって言ってるだろ」
「うん、まぁ…そだね…」私はそう答えながらその場の段差に座り込む。竜二も私の隣に座りこんだ。

「ん」竜二はそう言いながら左手を私に差し出してくる。
「何?」
「昨日…!お前にこれ渡したかったんだ…」彼が恥ずかしそうに伝えてくる。私はその手の中に入っていたものを受け取った。その物とは、お守りだった。可愛いフクロウがついた幸運守り。

「これ…」お守りと竜二を交互に見つめながら話す。
「どこに売ってるか分からんくなって迷ってた。道探すので必死なのにお前はぶちギレるし、俺は焦るしよー」竜二の優しさに胸が苦しくなった。

「頑張れよ、試合…」私は大きく頷いた。そしていっぱいいっぱい微笑んだ。そう、ここまでは最高によかった。
このあとだ…私たちの大大大喧嘩が始まるきっかけができたのは…
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