わかれあげまん



基本的には人当たりのいい明るい性格の渡良瀬は、クラブでは人気者だ。


クラブ仲間にも男女の隔てなく好かれているのか、取替え引き換えに誰かが楽しげに何かを彼に話しかけているのを、柚は恨めしげに見やった。


「先輩ってば、ひとの気も知らないでぇ…。」


「まったくよね。きっとあいつ脳みそとか一切使わないで、下半身だけで生きてるのよきっと。」




「…」


にはは、と笑う美也子を柚は険しい顔で見てから。


「ねー美也子。…何であたし、渡良瀬さんといきなりヤッちゃったのかな…」


「はぁ!?それあたしに聞くぅ!?」


何を言い出すのこの子は?と美也子は困惑と憤懣とが入り混じったような表情で柚を見返し、柚はヒイと肩を竦めた。


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