わかれあげまん
「だからそれは!あんたがアホだったのと!渡良瀬があざとかったのと!とにかくめぐり合わせが悪かったってことで!…って、そういうこと尋くのマジやめて?あたしのがムカついてくるから」
美也子の辛辣な言葉に柚は、酷くセンチメンタルな瞳を伏せて呟いた。
「もっと普通に始められてたら、…きっと渡良瀬先輩とだって素敵なカレカノになれたんだと思う。…」
「そ~れはどうだか。あたしはやめといた方がいいと思うけどね、利己主義丸出しだったじゃん!」
「でもさ、見ようによってはちょっと我が強いってだけで、基本は優しいし…」
「あんたって場数踏んでる割にはホント、男見る目ないよね…柚。」
ゲンナリした表情でこっちを見ながら言う美也子だったが、柚は思いを巡らせていた。
ちゃんと、きちんと想いを告げて…少しずつお互いを思いやりながら、少しずつ進んでいけたら。
あたしだって先輩と、ベストカップルになれたのかもしれないのに。
・・・藤宮くんと、ルチアちゃんみたいに。
“ルゥ”、ってカノジョを呼ぶ藤宮くんの声…
甘くて、すごく優しかった、な。
…