わかれあげまん
女探偵・美也子が更に声を潜ませそう啓祐に伺うと、
「うん。まあ、彼氏が選手で、ここ入り浸りだしな。」
とのんびり返した。
え。
ちょっと待った。
混乱する思考に、美也子は更に眉をうにゃっと曲げ、訝しげに啓祐を見やった。
「はい?…彼氏?」
「…?」
美也子が難しい顔をしている意味を読みきれず、啓祐も思わず首をかしげ彼女を見返した。
「彼氏って・・・どーいうこと?」
「え?…どーいうことって。ホラ、あの隣に座ってるガタイのいいスキンヘッド。彼が彼女の、ボーイフレンドさ。」
視線でそっちを示しながら言う啓祐に、美也子はとうとう無意識にそっちを向き直って確認してしまい、慌ててまた前を向くとフードを深く被りなおした。
「…ええっ!?…それマジ?啓祐」
「うん。こないだ、“ワタシのボーイフレンド”って紹介されたもん俺。…いつもあんな調子で、仲よさそうだぜ?」
「・・・ふーん」
「ってか、何。なんか問題でもあるの?」
美也子の瞳にきらりと興味深げな光が宿ったのを見て、啓祐も少し釣り込まれたように身を屈めそっと尋ねた。