わかれあげまん
そう。
ただの偶然だよね、って思ってた。
たまたま好きになったその人に、身も心も捧げたその途端、
相手に思いもよらないようなサクセスストーリーが降って湧き、そして去って行ったまでのこと。
でもそれをただの偶然だって、世間がそう捨て置いてくれなかった。
どこからどう伝わったのか。
“星崎柚と寝たやつは大出世できる”って伝説が、どこからともなく囁かれるようになっちゃったんだ。
その伝説にいつしか自分も飲まれてた。
一年間の浪人を経てようやく手に入れたキャンパスライフ。
次こそは。
次こそは“伝説”を“事実”にしてなるものか。
って。