わかれあげまん




そう。


ただの偶然だよね、って思ってた。


たまたま好きになったその人に、身も心も捧げたその途端、


相手に思いもよらないようなサクセスストーリーが降って湧き、そして去って行ったまでのこと。




でもそれをただの偶然だって、世間がそう捨て置いてくれなかった。


どこからどう伝わったのか。


“星崎柚と寝たやつは大出世できる”って伝説が、どこからともなく囁かれるようになっちゃったんだ。



その伝説にいつしか自分も飲まれてた。



一年間の浪人を経てようやく手に入れたキャンパスライフ。


次こそは。


次こそは“伝説”を“事実”にしてなるものか。


って。

< 15 / 383 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop