わかれあげまん
携帯は何度か呼び出し音を鳴らした後、留守番サービスに繋がってしまった。
「…やっぱ出ないか~。今頃盛り上がってんのかな。・・・!」
その時ルチアの居るフットサルチームのテーブル席から、なにやら囃し立てるような歓声が上がりそっとそちらを見ると。
スキンヘッドの男がルチアにべったりと腕を回し立ち上がり、そして何と二人は仲間の見て居る前で濃厚なキスを交わしだした。
一層派手に囃し立て、盛り上がるテーブル席を冷ややかに見ながら、美也子はルチアとその男の深い関係を確信し、冷めた溜息をついた。
「ちょ…ないでしょ~、あれは」
…藤宮哉汰はこの事を知ってるんだろうか?
知ってるわけないよね。
「美也子は二股大キライだもんな。」
「そうよ?啓祐一筋だもん。」
拗ねた様に唇を尖らし見上げた美也子の頭に、優しい笑顔の啓祐の手が乗りポンポンと弾むように撫で。
「可愛い事言ってくれちゃって。」
「…へへ。」
照れ笑いを返してから、美也子はまたグラスを手に持ち、薄桃色の綺麗なそのカクテルをじっと眺め、思い巡らせた。
ってか
ホント…大丈夫かな、
柚。