わかれあげまん




 

深夜の無言のドライブが続いた。


柚は憔悴したまま、哉汰のジャケットの中に縮こまり固く目を閉じていたが。


募る不安に、やがて恐る恐るジャケット越しに、


「…どこ行くの?」


と涙でくぐもった声で投げかけた。


すると、


「…キモチよくなれるとこ。」


と、面白そうに返された言葉。


「・・・!」


だよね。


帰りたくない、泣きたい気持ちな藤宮くんと、

帰りたくない、自棄っぱちなあたし。


世間一般的な流れで行っても、やっぱあたし、このままどこかのホテルに連れ込まれるんだ。


で、…


あたし、今夜。


藤宮くんとも、やっちゃうんだ。…






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