わかれあげまん
もういい。
所詮、レンアイなんてそんなものだ。
キレイゴトで括れるようなものじゃないんだってこと、もういやっていうほど思い知ってる。
だから。…
* * *
どのくらい走ったんだろうか。
哉汰はようやく車をどこかの駐車スペースに入れたらしく、ゆっくりと速度を落とし、そして停止した。
終始ダウンジャケットを被りっぱなしだった柚には、どこに連れ来られたのかなど皆目見当がつくわけもなかった。
「…着いたよ。…起きてる?」
エンジンをアイドリングさせたまま、哉汰が静かに言った。
「・・・。」
ごそごそと、服の中から久方ぶりに顔を出した柚は。
うつろな目を、車のインパネの計器の明かりに向けたまま深い溜息をついた。
哉汰がハンドルに身体を預けるようにしたままこっちを見ていた。
彼が今どんな表情をしているのか、見る勇気がなかった。
悲愴な表情でいつまでも計器メーターばかりを見つめ続けている柚に、哉汰はクスッと笑うと言って来た。
「目線、もう少し上げてみな。」
「…?」