わかれあげまん
言われたとおりに柚がゆっくりと目線を、ダッシュボードの上、フロントガラスへともたげると。
待っていたように哉汰が、カチリとインパネを消灯し。
途端、目の前に広がる光景に、柚は一瞬息を呑んだ。
「…う、…わ…!!」
烏の濡羽のような濃い闇に、まるで銀河の輝きを纏ったような、キラキラな何かが浮かんでいた。
「なに、これ…宇宙船みたい…」
柚のそんな反応を予測していたのか、隣でまたクスっと笑みが零れ、柚は目を丸くしたまま哉汰の方を見た。
「藤宮くん、ここって、…」
「山の上。…標高低いけど。」
「すっごく綺麗………」
柚はまた、驚きと感動を隠せない表情のままフロントガラスへと視線を戻した。