わかれあげまん


と。


「ううーん…」


といかにも目覚めの一声的な声を出しながら、続いて出てきた黒い短髪のイケメンが、彼女を見上げニコリと笑った。


なんだこれ。

と、眉間にしわ寄せこんがらがっている記憶の糸の端をたぐる彼女を、彼は


「柚~~っ」


と猫撫で声で呼んでいきなり抱きついてきた。


「わあぁ!ちょっ」


抱きしめられて否応なしに分かってしまったのは、お互いが一糸まとわぬ素っ裸ということで。


すべすべした腕に閉じ込められたまま、柚(ユズ)と呼ばれた彼女が甲高くさけんだ。


「先輩っっ!ダメだってばっ」



どうやら彼とは、顔見知りではあるらしい。
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