わかれあげまん
「あの、…さ。」
「…。」
「ルチアちゃんのことなんだけど…」
その先の言葉などまるで見通しているかのように、哉汰はゆっくりと咀嚼しながら、まっすぐに強い視線を柚に送ってきた。
ど、
どーするのよ;柚。
いくらなんでも、
“カノジョとはほんとに、うまくいってるの?”
なんて図々しいこと、聞けないでしょ;
でも、
聞いてみたい…し…
ああ~~~~~っ;
やっぱこんな駆け引き、あたしには無理だよお;
美也子…。
心の中でそう泣き言をいいながら柚は自分の顔がどんどん熱を持っていくのを自覚し、焦りを募らせた。
えと、えと、…
と、と、とにかく何か言わなきゃ。
「…あの、…その、…」
その時柚の頭の中に不意に甦ったのは。
山頂で哉汰に言われたあの優しい問いかけだった。