わかれあげまん
「ち、違うよ、藤宮くん!あたしがしたいのは、藤宮くんのためになることであって、…」
「なら俺のためにそうして。」
「!!」
驚きと感激と、どうしようもない切ない気持ちとがない交ぜになり、気付かないうちに込み上げてしまう涙。
やばいよ。…
そんなふうに言われたらあたし、…
ホントに…
「何泣いてんの。…俺またなんか悪い事した?」
「…ごっ…めんなさい…。」
フ。と溜息混じりにこぼした彼の笑みが、心地よく柚の耳をくすぐる。
「…あ~。やっぱすげえうまい。…」
晴れやかに言い、再び箸を持ち弁当を貪りだす哉汰だったが。
その一方、柚は自分の中で駆け出してしまったその“キモチ”を前に、
戸惑い怯えるように零れ落ちる涙をなかなか止める事ができなかった。