わかれあげまん


医務室内のベッドに倒れこむようにごろりと仰向けになる柚に、彼は羽織っていたブラックチェックのネルシャツのボタンを外し、投げてよこした。


「へ?」


頭をもたげてきょとんと彼を見返した柚だったが。


彼は別段どうって事ないという様子で背を向け、校医のデスク上の報告日誌を広げ、記入しながら。


「さっき濡れたろ?あんたの服」


「あ」

つまりあたしの服はさっきトイレで洗って濡れちゃったから、これに着替えろと。


頭痛絶好調の頭でもそう理解した柚は慌てて言った。


「い、いいです、そんな」


「いいからカーテン引いて着替えな」


背中でにべもなくそう返されしかたなく柚は「すみません」とまた顔をしかめて呟き、ベッドの仕切りカーテンを引いた。
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