わかれあげまん




「そうかい?…じゃあ気をつけてね!今日は本当にお疲れ様。」


「お疲れ様です!送っていただいてありがとございました!」


ニコリと微笑んだ所長の顔がすうっとせり上がって来たパワーウィンドウの向こうに消え、そして車はいかにも上質なマフラー音を響かせながら柚の前から走り去って行った。



漸く一人になれた柚は、歩道に立ち止まってブーツの上にバッグを下ろして、ウ~ン、と伸びをした。




それからジャケットのポケットに手を入れ、あの白いメモリスティックを取り出す。



…どうしよっかな…。これ。


とりあえず、藤宮くんにメールしなくちゃ、だよね…


……



柚は反対側の手もジャケットに突っ込んで、おもむろにケータイを取り出した。



ぼんやりディスプレイを眺めながら、数時間前、研究所のパーキングでの一幕が脳内を掠めた。



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